或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  95.聖アンドリュースへの道

昨年の12月頃であったように思う。当社の目木君が私の部屋にやって来て、「あのー、本当に行っていただけるのですか?」。私は「どこへ行くのか?」と尋ねると、「セントアンドリュースです」と言う。
私はすっかり忘れていたのである、彼との約束を…。
パナホームでは、累積出荷棟数が200棟に達した営業マンに、報奨として100万円の旅行券がプレゼントされるのであるが、彼はその資格を得たのである。私は彼に「200棟出荷したら、セントアンドリュースに一緒に行こう」と約束していたのだ。
「勿論行く」と私は答えた。彼も知っている私の友人2人を交えての計画が、そこから始まった。
2010年8月15日午前5時に山崎を出発し、一路関空へ向かう。無論全員睡眠不足である。アシアナ航空でソウルまで行き、3時間ほど仁川空港で費やし、同じくアシアナ航空でロンドンヒースロー空港へ飛び立った。
ロンドンのホテルにチェックインしたのは、夜の8時前(日本との時差は8時間)だった。白夜だから外は充分明るい。予想通りまずい夕食を早々に済ませベッ ドイン。16日は朝食を簡単に済ませ、一行は市内観光へ。何はさておいても「大英博物館」には行くことにしていた。イギリスでは博物館・美術館などはすべ て無料である。館内は迷路のようだった。ガイドに遅れないように駆け足で観て回り、「バッキンガム宮殿」は外から見て、ヒースロー空港からエジンバラ空港 に到着した。
空港から車で約1時間半。やっと「オールドコースホテル」に着いた。17日は朝軽く練習をし、ニューコースを回った。
そして、2010年8月18日午前10時50分、憧れの最愛の恋人「セントアンドリュース・オールドコース」の1番ティに立つ。震えながらティアップし、 ドライバーショットを放つ。強烈なアゲンストも影響し、想いとは裏腹にボールは大きく左に反れる。いきなりのダボ発進である。先が思いやられる。名物17 番ホールは完璧なドライバーを打ちながらも、結果はボギー。あっという間の最終ホール。神業的なアプローチをすると、コースを取り囲む観客から拍手が起き る。私は軽く手を上げて応える。
「セントアンドリュースってどんなところ?」という質問には、「それは世界一さ」と答える。「どこが?」。「全て」。まさしく「聖アンドリュース」であ る。私の机の上には、ガラスケースの中で銀杯に飾られた14番ホールでのバーディボールと17番ホールのバンカーの砂が燦然と輝いている。