或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  89. 宗教についての雑感

香山家は代々仏教徒であり、その宗派は浄土真宗・西本願寺派である。この1年の間、神戸新聞に掲載された五木寛之(彼は近年、浄土真宗の研究で広く知られ ている)の小説『親鸞』によると、開祖までの道程は困難を極めたようである。親鸞は幼名を『松若丸』と言い、9歳で得度し『範宴』(はんねん)と称して比 叡山に登り、20年間血の滲むような修行を積むが、自力修行の限界を感じるようになる。29歳の時に叡山を下りて法然に巡り会い、専修念仏の教えに触れ る。100日の間、聴聞のため通って入門を許され、『綽空』(しゃっくう)の名前を授かる。5年後には『善信』と改名するが、その頃より弾圧が厳しくな り、後鳥羽上皇は1207年に専修念仏を禁止し、法然は土佐へ、親鸞は越後へ流罪となる。5年後赦免になり、法然は帰京し80歳で亡くなっている。親鸞は 越後から東国にかけて布教活動をしながら、60歳を過ぎてから都に戻った。帰京してからはもっぱら著作活動に専念し、90歳で入滅するが、本願寺の成立を 見るまでには10年を待たねばならない。
世界の宗教は、キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教の四つに大きく分けられると思う。元々宗教とは「如何に生きるべきか」「どうすれば人間は救われ るか」という教えである。私の子供達が一人暮らしをするため巣立っていく時に、「色々な誘惑や勧誘があると思う。その一つに宗教もあるだろう。信仰は自由 だから何を信じてもいいが、その判断基準は、①お金を必要とする宗教はまずよくない。②他の宗教を完全否定するのもおかしい。③しつこすぎるのも疑問であ る」と言って聞かせた。
今も世界の地域では戦争が絶えない。その多くが民族紛争か宗教戦争である。テロや独立など様々にその理由を掲げてはいるが、根本はいずれかである。本来人 を救うべき宗教が殺し合いをして一体どうするのか…と、叫びたくなる。世界で多くの信者を持つキリスト教が最初に犯した罪は『二ケア公会議』だと思う。ア リウス派とアレクサンドリア学派との対立を裁いた会議であるが、ローマ皇帝コンスタンチィヌスがアレクサンドリア学派を正教としたのである。宗教が政治に 関与して栄えた歴史は世界には見受けられない。結果、ローマ帝国の滅亡を早める原因の一つになったのである。
親鸞もキリストもマホメットも、その最初の教えは崇高であった。地球上で戦争が消え、飢えで子供たちが亡くならない時代を早く見たいと願っている。