或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  52. 追伸

あなたが亡くなってはや半年以上が経過しました。少しはその寂しさから解放されるかと思っていましたが、私の心に空いた穴はそのままで、一向に埋まりそう もありません。あなたはもう知っていて、多分そちらで一緒に遊んでいると思うが、(こちらに居る時も良くじゃれあった本当に他の人が不思議がるくらい仲良 しでしたからね)17年半も生きた柴犬"サンタ"が、ちょうど1ヵ月後あなたの後を追うように、1月4日に眠るようにお母さんの腕の中で息を引き取ったの ですよ。
サンタもあなたと同様、家族の一員として弔いました。勿論可哀相でしたが、あなたの場合と違って、"本当に天寿を全うした"のですから、涙は出ましたが、 むしろさわやかに送ることが出来ました。サンタは亡くなるその日の朝も、少しですが散歩もしましたし、ご飯もいくらか食べました。私もサンタと同じよう に、例えば朝ゴルフに行き、一ラウンドを終え帰って来て、『今日は少し疲れたから先に眠るわ』と言い自分の寝室に入り、次の日の朝、家族が起きてこないの で見にいってみると息を引き取っていた・・・というような人生が良いと思いました。
1ヶ月の間に、あなたとサンタを失った私たちは、特にお母さんはショックで、あれほど何やかやに精力的だったのに、すっかり落ち込んでしまいました。私た ちは、あなたとサンタの四十九日、合計80日読経をしました。そして今は、月命日が偶然にも同じになった4日にはお経を唱えています。その時あなた方に会 えるのが嬉しくてね。
サンタの四十九日が終わったのを契機に、私たちはサンタと同じ柴犬を飼うようになりました。名前は『官兵衛』といいます。この子が元気でやんちゃ坊主で す。最初のうちはお母さんもほとほと手を焼き、少々ヒステリックになっていましたが、日がたつにつれ近所の人も見間違うほどサンタそっくりになり、だんだ ん賢くなっています。あなたに見せたいです。この夏にあなたの元々の主人である長女がウィーンから帰ってきたらきっとサンタがいると思うでしょうね。
私は一生あの夜のことは忘れません。あなたが亡くなる4日前、その時あなたは1メートル四方も歩くことが出来ない状態だったのにも関わらず、私たちの寝室 のある二階にまで上がってきて、私の部屋に入り、そして家内の布団の上で寝ましたね。最後の力を振り絞り、最後の別れにあなたは来たのですね、


私は、あなたに出会うまで、あなたと暮らすことはないでしょう。
さようなら、でももう一度めぐり会いたい・・・・・・