或る二世経営者のホームページ ~香山廣紀 かく挑み、かく歩む。~

香山草紙 エッセイ集


  11. 本

私は本が大好きである。大好きというより、周りに本がなかったら耐えられないタイプである。仕事柄、ビジネス書や専門書を読むこともあるが、小説のほうが圧倒的に多い。大体、小説が7割で残りの3割がビジネス書の類である。
ビジネス書の中で、「これは!」と思ったものに、"田中要人氏"の書かれた『社長業の心得』と『社長業の実務』がある。この2冊は、私に社長とは何かを教 えてくれた。それまでの私の"社長像"といえば父であったし、父そのものが社長であり、父のしている仕事が社長の業務であると信じていた。確かに父のして いる事も社長の仕事ではあったが、それは偉大なる創業者としての仕事であり、二世である私にとっては全くといっていい程あてはまらなかった。そういう意味 において忘れられない本である。
物心ついて、最初に読んだ本が『三国志』である。小学2,3年の頃の事だから児童用に書かれたものだったと思うが、とにかく面白かった。徳の劉備、勇の関 羽、豪の張飛と桃園で義兄弟の契りを交わすところから物語は始まり、孔明の知勇に優れた活躍はハラハラドキドキの連続であった。何年か経ってから吉川英治 の『三国志』を読んだ時も、その感動は変わらなかった。
デモと麻雀に明け暮れていた怠惰な大学生活を送っていた時期に、友人が「そんなバカなことばかりしていないで、これでも読め」と言って渡してくれたのが 『国盗り物語』であり、それが司馬遼との出会いになった。続いて『竜馬が行く』『坂の上の雲』と一気に読み漁った。ビジネスの社会に身を置くようになった 今、3回も4回もそれらの本を読み返す事になるとは、当時は想像も出来なかった。今では棺桶の中に入れて、是非あの世まで持っていき、司馬遼にサインのひ とつももらいたいような気持ちである。彼は小説家というよりむしろ歴史家といったほうが適切かもしれない。今では暇に任せて『街道を行く』を楽しんでい る。
好きな小説家の一人に池波正太郎がいる。何といっても鬼平は痛快で、あの密偵達とのやりとりに人間を感じるし、男涙を誘われてしまうシーンである。『剣客 商売』も『坂の上の雲』同様、必ず棺桶に入れてもらうよう、頼んでおこうと思っている。どこかに遠出(海外も)する時にも必携であり、どのくだりを何度読 んだのかは覚えていない。
今、取り組んでいる本は"塩野七生さん"が著かれた『ローマ人の物語』である。まさしく取り組んでいるという表現がピッタリの書物である。今年中に読破で きるかどうか四苦八苦しているが、とにかく読み応えのある興味深い本であることは間違いない。
本は大好きである。いろんな人とおしゃべりができるから...。